「開店と閉店」独り言#3

故郷に戻り、宿泊施設を始めて丸7年が経とうとしています。
安定とは程遠い状況ではありますが、いろいろな方に支えていただいてなんとか営業を続けられています。また、少しずつではありますが、自分が作りたい宿泊施設、お届けしたい旅行のスタイルに近づいてきているのではないかと思います。

この間、ここ富山県氷見市でも多くのお店が開店し、残園ながら少なくない数の閉店がありました。コロナや地震もあり、致し方無い閉店も多かったように思います。
僕らのような地方の町では、新たなお店がオープンすると大きなニュースとなり、メディアや人づてで大きく取り上げられます。一方で閉店となるともちろんメディアで取り上げられることもなく、真偽不明の噂話が一人歩きしたりもします。

同じ店舗を構える同業者として、閉店のニュースを聞くたびにチクっと心を刺されるような感覚になります。ひとつは”明日は我が身”という自戒の念によるもの。もうひとつは”何かできたのでは?”という後悔の念。
自分達のお店で手一杯の状態ではありますが、それでも同業者として何かできることはあったんじゃないか、と思わざるを得ません。小さな町です。みんな知り合いのようなものなのですから。


情報に溢れた社会ではありますが、自分にとって必要な情報を十分に得られているかどうかと言われると、自信を持ってyesと答えられる人はどれだけいるでしょうか。
その町特有の集客施策、業界特有の流通網、困った時に相談できる相手。これらがあればもしかすると継続できたお店もあったかもしれません。自分自身には力はなくとも力のある人を適切に繋ぐことはできたかもしれない、そんな後悔の念です。

分不相応ではありますが、”移り住みたくなる宿”はそんな、人と人との繋ぎ役も務めてこそだと考えています。この町で困ったことがあればイミグレさんに聞いてみよう、宿屋のおやじに聞いてみよう、そう思っていただけるようにこれからも励んで参ります。


宿屋のおやじ

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